詩穂は、朝、学校へ行く時から、どうも体調が良くなかった。
学校まで徒歩30分の道のりを歩くと、
さらに、いっそう体調が悪くなった。

保健室の先生に、「帰る?」と聞かれたが、
親は仕事中、
今から30分かけて歩いて駅に行き、さらに電車に乗って帰る方が辛いと思い、
少し寝かせて。と保健室のベッドで寝ていた。

保健室には、意外にも、ひっきりなしに、人がやってくる。
そんな声を聞きながら、うつらうつらと寝ていると、聞き覚えのある声がした。

ついたての隙間から、山下君の姿が見えて、思わず声をかけた。
「山下君?」