雨粒が激しく窓を打ち鳴らし、彼方では雷鳴が轟く────。




「どうぞ、そこにかけて」




 そう言われた2人は案内された月白(げっぱく)のソファに座る。体重をかければ簡単に人を呑み込んでしまうソファに瑮花が思わず感嘆の声を漏らした。

 黒縁の眼鏡をかけた青年は気さくな笑みを浮かべながら、アンティークで落ち着いた雰囲気のリビングに(しつら)えられた、温かな木目調のセンターテーブルに浅く洒落たティーセットを置き、それぞれに鮮やかな緋色を注いだ。




「ミルクとお砂糖、どっちがいい?」

「あ、えと……両方……」

「がめついやっちゃな」

「うっ、うるさい」




 宗徳は青年に頬を染める瑮花を横目に、小さな声で嫌味を吐きながら「オレはそのままで」と言った。

 微笑だけで返事をすると青年は一度戻って行き、手にミルクとシロップの入ったピッチャーを持って戻って来る。

 それを瑮花の前に置いたあと、青年はキッチンのカウンターに備え付けてあった、木目調にレザーの小さな背もたれがついたカウンターチェアを引きずり、2人の向かいに腰掛けた。




「……改めて」