「16時……あと30後やな。門の前で待ってたらいいらしい」

「そっか。ところで、なんでそんなにすんなり会えることになったの?」




 何か違和感を覚えたのか、瑮花は宗徳の顔を覗き見ながら問う。すると宗徳は口ごもりながら言った。




「その……あ~……麗司(れいじ)ってヤツとは友達だって……」

「……やっぱり嘘ついたのね」




 ものいいたげな目を向ける瑮花に挽回しようと宗徳は必死になって言い募る。




「お前に言われたかないわ!! あのガキと話した時、ありもせんことをべらべらと……!」

「あっ、あれは……あれは初対面且つもう会わないような子だったからいいの!! 今から会う人に一発でばれるような嘘つくあんたと一緒にしないでよ」




 腕を組み「嘘はばれなきゃ真実も同然」と胸を張る瑮花を宗徳は呆れた顔で見る。

 けれどすぐにどちらからともなく笑いが込み上げ、吹き出した。




「ま、本人が来た時にまた事情話せば……たぶん、大丈夫やろ」

「そうだね。話聞いてくれることを祈ろう」




 2人が(こいねが)う空は不穏を表すように重く佇んでいた……──。