装飾品をいくつもぶらさげた男に、雨の日にも関わらず誇らしそうにサングラスを持ち上げる男。
いかにも女を誑かしそうな雰囲気を纏った輩だ。その中でもまともそうに見えたのは最後に話しかけて来た爽やかな男だった。
「……人、探してるんです」
決して信用しているわけではない。それを最大限に滲み出させながら協力を仰ぐ。
「ん、いいよ〜」
装飾品まみれの男が意外にも人懐っこい笑みでそう答え、「さっそくだけど」と間を置いて問いかける。
「誰探してるの?」
「麗司さん。紅苑 麗司さん探してます」
その名を聞いた途端、男達は互いに目を合わせ、「またか〜」と笑い出した。次第に表情を曇らせていく瑮花を見て、爽やかな男が慌てて言い繕う。
「ああ、ごめんごめん。実はね、よく来るんだ。麗司のファンが」
話を聞くと麗司はその美貌と家柄から学校内外問わず、あちこちにファンがいるらしい。
「そうだったんだ……。あ、でもあたしは別にファンとかではないんです」
少し遠慮がちな声で「兄の友達で」と付け加えると、また男達は互いに顔を見合わせ、サングラスの男が馴れ馴れしく瑮花の肩に手を置き、次第にその手を体に絡ませていく。
「狙いが麗司じゃないなら好都合。よし、ちょっくら俺らのことも知ってかない?」
「は……?」
「なーんつって────」