「着いたで」
「わぁ……」
始めて〝大学〟という場所に訪れた瑮花は、物珍しそうに辺りを見渡した。
聖皇峯の時と同じく豪勢な門に城のように構える巨大な校舎、広々とした前庭、雨の中でも目を見張るほど美しい噴水、自由に学ぶ生徒達……──。
雨粒の反射する光も相まって、瑮花の目には全てが輝いて見えていた。
「でも……ほんまにええんか?」
感嘆の声を漏らし忙しなく動き回る瑮花に宗徳が問う。
「なにが?」
「柴樹に協力するってことや。その……言っていいんかようわからんけど、お前柴樹のこと好きやろ」
「は!?」
思ってもみなかった言葉が飛び出たからか、瑮花は声を裏返らせて顔を真っ赤にする。その声に周りの生徒達が怪訝そうな顔をしたのを見て、瑮花は慌てて柱の陰に宗徳を連れ込んだ。
「どどど、どこでそれを……! ていうかいつから!?」
「柴樹に聞いたわけちゃうからな。ちょっと前に気づいただけや」