神憑(じんひょう)は個人的に使ってええもんちゃう。神様が皆に平等に力を使うことを約束して与えられるもんや。
 それをそんなふうに使おう思てるんが、どうしても気に食わへん。

 柴樹はそんなオレの心情を汲み取ってか、申し訳なさそうな顔をして言った。




「わかってる。でも、俺にはこうするしかできなくて……朱紗に頼るしか……」

「……(げん)さんが言うとったけど」




 柴樹は祖父の名を出すと顔を上げ、複雑そうな表情をした。

 ……ほんに、コイツらは折り合い悪いんやなぁ。




「最近は浮遊霊とよく遊んではったらしいやんか。それがその子か?」




 この問いに目を伏せたところを見るに、どうやら図星らしい。




「なんでや。なんでアイツらなんかの味方するん。兄貴を殺した原因でもあるんやぞ……!」




 あんなのがいなければ……オレが柴樹を責めることもなかったやろうし、兄貴もまだ生きてたかもしれへん。せやのにコイツはそれを救うだと?

 歯を食いしばった時、柴樹がか細い声で話すのが聞こえた。




「初恋の……大切な子なんだ」

「は……? 好きな子……? ただそれだけでか!? そんなことのために……ふざけるな!!」