確かに俺は瑮花に言われたから本当に雨香麗を救えるかもって、禁止されてた離脱を繰り返して雨香麗を探し回った。
 そのせいでこうやって体調を崩したのも事実だ。だけど、だからって瑮花のせいなんかじゃない。

 少しの間を置いて瑮花の目を見ながら言う。




「……本当は、あの子が生きてることもわかった」




 聞いた途端、瑮花の顔には驚きが広がる。何度も瞬きを繰り返し、手は行き場をなくしたように忙しなく(くう)を掴む。




「し、柴樹ってば、雨香麗ちゃん見つけたの!? しかも生きてたって、どういう……」




 混乱する瑮花に雨香麗と出会った時のことやその後の状況、これからのことを話した。

 朱紗が時々力を貸してくれたおかげで雨香麗と出会えたこと。しかし初めて目にした時以上に弱り、記憶をほとんどなくして自分の名前すら思い出せなかったこと。けれどもしっかりと〝糸〟は存在しており、雨香麗は生きていると確信できたこと。俺だけの力ではどうすればいいのかわからないこと……。




「雨香麗が生きていると知って、どうにか俺にできることがないか、ずっと模索してた。でも、その前に離脱がばれちゃって」




 引き戻された挙句、謹慎をくらった。




「そっか、そんなことが……」




 2人して項垂れていると不意に瑮花が声を上げた。少し驚いて「なに」と問えば俺を励ますように言う。




「あたし、思ったんだけど。雨香麗ちゃんが生きているなら、体はどこかで寝たきりかもしれないってことでしょ?」