夜が明けていく。

音楽スタジオの受付ロビーを過ぎると、長い廊下があって両サイドにはいくつか部屋が並んでいた。

入り口のドアは部屋の中が見える作りになっていて、各部屋でバンドマンたちがそれぞれ練習しているようだった。

バンドと言ってもそれぞれ個性があって、それはビジュアルからでも窺えた。

廊下をしばらく進んでいくと、ある部屋の前で立ち止まった。

そして、私の手を引いたままドアを開けて部屋の中に入って行った。

部屋の中にいた人たちが一斉に私に注目した。

ボーカルの人に何か話しかけていたけれど、いつも見ているバンドのメンバーが勢揃いしていることに高揚した私には、その声は届かなかった。

しばらくすると、肩をトントンと叩かれ私は我に帰った。

「お〜い、聞いてる?」

「えっ、あっ、ごめんなさい!ちょっとボーッとしちゃって・・・・・・」

「風邪引くと行けないから先に着替えて。これ俺のなんだけど、ちゃんと洗ってあるから」

そう言って、ボーカルの人が私にタオルとシャツを貸してくれた。

「見ず知らずの私のために、ありがとうございます」

タオルとシャツを受け取ると、私は頭を下げて感謝を伝えた。

「いつもライブ見に来てくれてたよね。一度話してみたかったんだ。・・・・・・とりあえず俺ら部屋の外に出るから、先に着替えなよ」

そう言って、メンバー全員が部屋の外に出てくれた。

雨宿りさせてもらって、着替えまで貸してもらって、気遣ってもらって、なんか至れり尽くせりで申し訳ないな・・・・・・。