夜が明けていく。

こうやって、誰かと街中を歩くのはいつぶりだろう?

あのバンドと出会ってから、私の中で何かが変わるような気がした。

それなのに、ふとしたきっかけでまた暗闇に支配されてしまう。

本当は両親に腹を立てたわけじゃない。

本当は不甲斐ない自分自身に腹を立てたんだ。

両親が悪いわけじゃないのに、ただの八つ当たりだった。

それでも怒りをぶつけずにはいられなかった。

“あの事”は、少なからず両親が芸能人であることが原因だったから・・・・・・。

今日、あの広場でボーカルの人に声を掛けてもらった瞬間、何故かとてもホッとした。

よく知りもしない人に付いて行くなんて、冷静に考えれば有り得ない。

それでも、今の私には藁をもすがる思いだった。

こんな暗闇からは早く抜け出したい・・・・・・。

しばらく歩いていると、ボーカルの人が「到着!」と言ってお店?のような所で立ち止まった。

私は目線を上げて、店の名前を確認した。

「・・・・・・音楽スタジオ?」

「そう、俺らがいつも使ってるスタジオ。雨の日はだいたいここに来て練習してるかな。メンバー先に来てると思うけど、タオルとか着替えのシャツあるし雨宿りしていきなよ」

「えっ、それなら私はお邪魔なんじゃ・・・・・・」

ボーカルの人は、私が言い終わる前に「大丈夫!」とだけ答えると、そのまま私の手を引いて音楽スタジオの中に入ったのだった。