夜が明けていく。

勢いで家を飛び出して来てしまった。

雨の中、傘も持たずに・・・・・・

こういう時、私は一体どこへ行けば良いのだろう。

最近は少し充実していただけに、こうやって“あの事”を思い出して虚無感に引き戻されるのは落差が激しい。

こういう時にあのバンドに会いたかったな・・・・・・。

そんな風に思いながら歩いていると、無意識に私はいつもの噴水前広場に来ていた。

そこにはバンドどころか誰もいない。

雨なのだから当たり前のことなのに、なぜかとても寂しい気持ちになった。

それでも私は、まだここに居たかった。

“生きていることが実感できる”この場所に。

頬を伝う冷たい雨が、まるで涙のようだった。

私は顔を上げて、そのまま夜空の涙を感じていた。

どれぐらいの時間をそうしていただろうか?

すると、突然スッと雨が当たらなくなった。

私は後ろを振り向くと、そこにはいつも見ているバンドのボーカルが自分の傘を私の方にさして立っていた。

「えっ・・・・・・?」

私は驚きのあまり言葉にならなかった。

「君、いつも俺らのライブ見に来てくれてるよね?今日は雨だから中止なんだけど、もしかして見に来てくれたのかな?」

「えっ、えっと・・・・・・中止って分かってたんですけど、気付いたらここに来てました」

「そっか・・・・・・。とりあえず、風邪引くといけないから付いておいで」

あんなに力強く歌っている人とは思えないほど、優しく話す人だった。