夜が明けていく。

6月に入り、じめじめした梅雨の時期がやってきた。

連日の雨で路上ライブにも行けず、大好きなおもちゃを奪われた子供のような気持ちだった。

「早く梅雨が明けてくれたら良いのにな」

私はそう何度も願った。

「ねぇ、華・・・・・・」

いつものように両親と夕食を取っていると、母が話し掛けてきた。

「なに?」

「今日ね、あなたの学校の先生から連絡があったのよ。

休むまでの出席日数でなんとか3年生に進級できたけど、このままだと卒業できなくなるって心配されてたわ」

「・・・・・・そう」

「“そう”って、華はこのまま引きこもったままで良いの?また小説書きたくないの?」

「まあまあ、そのぐらいにしとこうよ。華だって好きで引きこもってるわけじゃないんだし」

父が私を庇ってくれたが、母に一睨みされるとシュンとして黙ってしまった。この人、ほんと母には弱いんだから・・・・・・。

私は父に呆れながら、母に反論した。

「私だって、好きで引きこもってるわけじゃない。私だって以前のように楽しく小説が書きたい。でも、出来ないんだから仕方ないじゃない!」

「色々あって辛い気持ちも分かるけど、このままじゃダメなのも分かってるんでしょ?」

気持ちも分かる?

私の気持ちの何が分かるって言うの?

母の言葉に、私は物凄く腹が立った。

「“気持ちが分かる”ってなに!?お母さんに私の気持ちの何が分かるの!?私がこうなったのは誰のせいよ!!」

私がそう言い放った瞬間、両親は悲しい顔をしていたけれど、私は気付かないふりをしてそのまま雨の中外に飛び出していた。