夜が明けていく。

帰宅し玄関を開けると、バタバタと足音が聞こえてきた。

「華!いきなり飛び出して行って、連絡も付かないなんて心配するでしょ!!」

両親の表情から察するに、心配をかけた事は間違いなかった。

「・・・・・・ごめんなさい」

「まあまあ、とりあえず無事に帰って来たんだし、今日のところはやめておこうよ」

「辰臣さんは、いつもそうやって華のこと甘やかすんだから!」

「麗華さんは厳しいから、僕は甘やかす係なんだよ。アハハハ・・・・・・あれ?華ちゃん、それどう見ても男物のシャツだよね?なんで着替えてるの?誰に借りたの?どんな人?どこで知り合ったの?〜¥$€%°#○*・〜!!!」

父からの質問攻めはまだ続いていたけれど、面倒臭いやら恥ずかしいやらで私は自室へと逃げたのだった。

“家に着いたら連絡してくれる?”

約束していたことを思い出し、私は急いでスマホの連絡帳を開いた。

青山空翔(あおやまそらと)

先ほど登録してもらった連絡先をタップし、メッセージを送る。


○赤木華○ーーーーーーーーーーーーーーー
無事に家に着きました。
今日は本当にありがとうございました。
シャツは、洗濯してお返しします。
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暫くして、スマホの通知音が響く。


●青山空翔●ーーーーーーーーーーーーーー
無事に着いたようで安心した。
俺も楽しかったよ!
また曲の感想聞かせてね。
おやすみ。
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○赤木華○ーーーーーーーーーーーーーーー
はい、是非。
楽しみにしています!
おやすみなさい。
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今日は本当に楽しかった。

家を飛び出した時は悲しい気持ちでいっぱいだったのに、いつもの場所で青山さんに声を掛けてもらってスタジオに連れて行ってもらって、目の前で素敵な演奏や歌を聴かせてもらった。

こんな日が毎日続けば良いのに。

今日の出来事を思い出し、私の心は幸福感で満たされていた。