夜が明けていく。

演奏が終わり、まるで物語を1つ書き終えた時のような満足感だった。

物語と現実の境目のような、まだ全身がふわふわしている。

私は余韻に浸りながら、精一杯の拍手を送った。

ボーカルの人が私に近付いてくると、そのまま隣に腰掛けた。

「ありがとう。俺らの曲をいつも真剣に聴いてくれてるよね。以前から君と話してみたかったんだ」

「えっと、あの、あなた達の曲を聴くと、頭の中に物語が浮かんでくるんです。とても素敵な物語を読み終えた後のように、心の中が温かくなって、それでいつも・・・・・・」

私は曲を聴いた後の感動を伝えたかったけれど、自分が思いの外興奮していることに気付いて、途中で恥ずかしくなってしまった。

「物語か・・・・・・そうだね、いつも曲を作る時は先にストーリーを考えてから作ってるんだ。そういうのを感じ取って聴いてくれてたんだね。本とか読むのが好きなの?」

「はい。子供の時から本を読むのが好きで、自分で物語を創作してたんです。音楽を聴いて物語を考えるのも癖みたいなもので・・・・・・」

以前は、純粋に物語を考えるのが楽しくて大好きだった。

自分の身の回りで起こること全てが物語に結び付いて、目の前がキラキラしていた。

生き生きとしている彼らをみていると、あの頃の気持ちを思い出さずにはいられなかった。