今年の春、私「陽川日和」は白羽学園に入学した。そして、生まれた時からずっと一緒にいる「黒羽根大和」こと大和もこの白羽学園に入学した。大和は、私よりも遥かに学力が高いのにこの高校を選んだ。私は、その事を不思議に思いながらも、学校に向かう。



「おはよう！」

「おはよ！」

今、挨拶を返してくれたのは、春風 胡桃(はるかぜ くるみ)。私が入学してすぐにできた友達。

「日和の幼なじみ今日も騒がれてるよ」

「大和また騒がれてるの？」

「毎日注目の的だね」

「なんでそんなに騒ぐのかなぁ」

「黒羽根君イケメンで優しいからね」

「確かに顔は整ってるけど」

「日和が好きにならない方がおかしい」

胡桃はいつもこうやって言ってくる。でも、小さい頃から一緒に居すぎるのか大和を恋愛対象として見たことは一度もない。大和と幼なじみという事をよく羨ましがられるが、正直羨ましがられる理由が分からない。そもそも、大和も私のことを恋愛の目で見たことはないと思う。

「一緒に居すぎたら好きになるとかないん
だよね」

「私はフリーだったら絶対黒羽根君だなぁ」

そうなんです！胡桃には素敵な彼氏がいるんです！サッカー部の南 春人(みなみ はると)君。春人君もほんとにモテモテで大人気。爽やか系イケメンって感じ。

「絶対に大和より春人君のほうがいいって」

「日和は黒羽根君の魅力に気づいてないだ
けだよ」

「そうかな…」

「そうだよ！いっそ同棲とかしちゃえばいい
のに」

「ないない！大和を恋愛の目では見れない
なぁ」

胡桃が言った事が本当になる事を知るのは数時間後の話。