「……っ」

涙が止まらない。

私は、どうして女の子に恋をしてしまったんだろう……どうして……?

「……心音ちゃん……?」

名前を呼ばれた気がして振り返ってみると、そこには保健室の先生がいた。

「先生……」

「……どうしたの?」

先生は、私に近づくと優しく微笑む。

「……失恋、しました……」

私が泣きながら微笑むと、先生は「そっか」と私の頭に手を置いた。

「先生……私が好きになったのは、女の子なんです」

私は、先生に明梨ちゃんに恋をしたことを話す。泣き出した私を、先生は優しく抱き締めてくれた。



あれから数年。社会人になった私は、久しぶりに明梨ちゃんと遊ぶことになった。

「……心音!今日は楽しかった!」

帰り道。明梨ちゃんは立ち止まって私の方を見ると、初めて会った時から変わらない笑顔を見せた。

失恋したけど、明梨ちゃんに対する想いは変わらない。

明梨ちゃんの笑顔を見る度にドキドキして、キスをしたくなる。ほら、今だって……。

きっと、私の恋は甘くて苦いものなんだ。

「……心音、私ね……れおと結婚することになったんだ」

幸せそうに、明梨ちゃんは笑った。ズキンと私の胸は痛むけど、私は「おめでと」と笑う。