「……」

明梨ちゃんの隣にいるだけで、ドキドキするな。これは、きっと恋だ。私は、多分明梨ちゃんに恋をしている。

「……心音って、好きな人いる?」

突然明梨ちゃんに聞かれて、私は隣にいる明梨ちゃんに目を移した。

私が立ち止まると、明梨ちゃんも立ち止まって私を見る。

「……いるよ」

私が正直に言うと、明梨ちゃんは「誰!?」と食いついてきた。

「教えない」

君が好きだ、なんて口が裂けても絶対に言えない。きっと、それを伝えたら君は私から離れていくから。

「教えてよ!」

「絶対に嫌!そう言う明梨ちゃんは、好きな人いるの?」

私が問いかけると、明梨ちゃんは「私もいる」と笑った。

「……私ね。同じクラスのれおくんが好きなんだ」

そう言って、明梨ちゃんは頬を赤く染める。

この私の恋は叶わない、と諦めてたはずなのに……苦しいなぁ。

「そっか……れおくんに告白したら?」

私が気持ちを押し殺してそう微笑むと、明梨ちゃんは恥ずかしそうに前を見つめた。



あれから1週間後の放課後の屋上。私は地面に座って、泣いていた。

――私、れおくんと付き合うことになったんだ!

さっきから頭の中を駆け回る明梨ちゃんの言葉。脳裏に浮かぶ明梨ちゃんの幸せそうな笑顔……。