そう言って、明梨ちゃんはにこりと笑った。その笑顔は、まるで太陽のように明るくて。その笑顔に、私の胸は高鳴ったような気がした。

「……」

この感覚の正体が分からなくて、私は胸にそっと手を当てる。

「……よ、よろしく……明梨ちゃん」

「よろしくね!」

明梨ちゃんは、そう言って再びスケッチブックに目を移した。何となく明梨ちゃんのスケッチブックを覗いてみると、中学生とは思えないほど上手な絵がたくさん描かれている。

「明梨ちゃん、絵……上手いね」

私がそう言うと、明梨ちゃんはスケッチブックから顔を上げて私を見た。

「……そう?ありがとう」

明梨ちゃんは、嬉しそうに笑う。

「明梨ちゃん、将来何になりたいの?」

私が問いかけると、明梨ちゃんは「イラストレーター」と答えた。

私と明梨ちゃんは、時々笑いながら雑談をする。気が付けば、空は暗くなり始めていた。

「……私、そろそろ帰るよ。心音、また明日!」

リュックを背負った明梨ちゃんは、私に手を振ると背を向けて歩き始める。

私は明梨ちゃんの姿が見当たらなくなるまで見つめた後、もう一度高鳴った胸にそっと手を当てた。



明梨ちゃんと仲良くなって、数年。高校2年生になった私と明梨ちゃんは、一緒に通学路を歩いていた。