街の入口まで、皆、見送りにきてくれた。

餞別にと、彼らは俺と妹に、一頭の駱駝と当面の食料、それからいくらかの金を持たせてくれた。

「本当に良いのじゃな」

サンドラが俺に訊いた。

俺は無言で人々を見渡した。

彼らの目の中に、俺は畏怖と、それから侮蔑とを見た。

はい、と答えるよりほかなかった。

「これを」

サンドラが、布にくるまれた長いものを差し出した。

あの大剣だった。

「わしらには、もう必要のないものじゃ」

なんと言えばよいのか分からず、俺は軽く頭を下げると、メルを抱き上げて駱駝の背に乗せてやった。

「メル、お別れはもう済んだか?」

メルは子供たちに綺麗な石や、人形や、いろいろな宝物を受け取って、「ありがとう」と言った。

「では、もう、これで」

俺は駱駝の手綱を引いて、彼らに背を向けた。

いくらか歩いたとき、「レイン」と、ゴートがせっぱ詰まったように声を張り上げた。

「お前は剣士だが、遊牧民の血は確かに受け継がれている。それを、忘れるな」