「ふっ」

俺は口の右端をつり上げて、挑発的に笑った。

不思議な感覚だった。

まるで氷の中にいるかのようだった。

確かに怒りはあった。

ただ、身体は熱くなるどころか逆に冷えていった。

全身の血が凍るようだった。

「その話を俺にしたこと、後悔させてやるぜ」

腕を背中に回して、大剣を引き抜いた。

意識ははっきりしていた。

自分が何を言っているのか、そして、これから何をするのか。

すべて理解していた。

俺は、大剣の柄の、端と刃の付け根をそれぞれ握ると、剣が水平になるように構えた。

「ひと思いに殺してやるつもりだったが、気が変わった」

「ほざけ!」

ピシリと鞭を打つ音と同時に、男がこちらへ突進してきた。