俺が駱駝を引いて集落に戻ると、ゴートと彼の妻子が迎えてくれた。

「早かったな。釣りは?」

俺は無言で余った硬貨を返した。

ゴートの妻が怪訝そうな顔で尋ねた。

「ねえ、あなた、顔色が良くないわ。具合でも……」

「いえ、なんでもありません。なんでも……」

俺は彼女らのほうを見ることができなかった。

険しい表情で虚空を睨みながら、サンドラのテントに入った。

その日は夕食を取らずに一人で早めにベッドに入った。

メルが心配して様子を見に来てくれた。

心配いらないと言って、彼女を晩餐の席に帰した。