「怪我の具合は、もうよいのか?」

ある朝、俺がベッドから出てかまどの火加減を見ていると、サンドラが外出から帰ってきた。

「おかげさまで、なんとか。少し痛みはありますが、もうほとんど……」

そうか、と言って、彼は俺の左目を見て、複雑な顔をした。

俺の左目は、ここに運ばれてきたときはもう手遅れだったそうだ。

サンドラたちは、俺の壊れた眼球はくり貫いてしまったと言っていた。

先日、誰かが街で義眼を手に入れてきてくれたので、今はそれを入れている。

しかし、焦点が合わないのが恥ずかしくて、俺は黒い眼帯をしていた。

メルは夜になると、俺を見て泣き叫ぶ。

そのたびに俺は彼女に言って聞かせるのだ。

母さんも父さんも、もういないのだと。

俺の左目と一緒に、あのとき死んだのだと。