朝だ。

「お兄ちゃん!見て!」

メルの声が聞こえる。

今日は何だろう。

「こらこら、レインったら、メルに起こされるようではいけませんよ」

母さんは優しい。

彼女の回りにはいつも光が溢れている。

俺は手をつくとみしりと軋む木のベッドで身を起こした。

麻の掛け布団を足元におしやる。

少し、寝すぎたようだ。

「おはよう、メル。母さん」

俺は寝間着を脱いで、普段着に着替えた。

麻でできたそれは、綺麗に洗われていて、着心地がいい。

ゆったりとした長袖に、ズボン。

それから、牛の革でできた、ふくらはぎまでの丈のブーツ。

それにズボンの裾を入れて、紐で編み上げる。

それで、じゅうぶん、動きやすい。

俺たちは、砂漠に生きる遊牧民。