「なんなの、デートの続きって」


下心ばっかりな俺に勘づくことなく、宇田さんが話を促してくる。ごめん、と各方面に謝ってから、俺は答えた。


「帰り道に、手を繋ぐの」

「て?」

「そうだよ、こうやって」


さりげない風を装って、さっき指きりしていた指を絡める。小指から順に、ひとつずつ。低い熱を共有するように絡めていく。ぜんぶが密着して、手が繋がれる。

ほんとうは、どうしようもなく緊張していたけれど、平然としてやり過ごした。指、震えてないといいけど。


宇田さんが退院して、ちゃんと帰り道に手を繋ぐのが楽しみだ。

下界のことなんて、宇田さんは何にも知らなくていい。俗世になんて、馴染まなくていい。だって、ぜんぶ、俺がいっしょに知っていきたい。いっしょに、大人になりたいから。