ふつうに憧れを抱くわたしは、一条くんと過ごしていると、煌めくふつうの一部になれるように錯覚する。
だけどそれは、しょせん錯覚にすぎなくて。
「わたし、公園でおしゃべりしたい」
「わかった、でも、ほんとに、宇田さんが疲れちゃう前に帰ろうね?」
「一条くん、もう帰りたいの?」
「、ちがうけど」
わたしは遊びに慣れてないから知らなかったことだけど、何事も、ピークにやめると良いらしい。桜は盛りに散るからうつくしいのだ。
だって、絶頂を迎えたら、あとは下ってゆくだけ。
一条くんとわたしは、近くの公園にいった。ブランコを揺らしながら、どうでもいい学校のことを話したりして。それが楽しくてたのしくて。
陽が落ちて、だいぶ風が冷たくなってきたので、一条くんがじぶんのマフラーをわたしの頭をぐるぐるに巻いて、ふざけて、あっためて。
いつになく、気分が高揚している自覚はあった。あったけど、でも、みんなだって、こうやって遊んでいるし。わたしだけ、いつも我慢しているし。
たまに、だもん。今日だけ、だもん。
心の中で言い訳して、自分の限界値を超えて夢中になって楽しんでいたわたしがわるい。
気づいたら意識を失っていて。また、白い病室に戻されることになった。
真っ白なわたしには、同じく色を持たないその場所しか、居場所がないのだろうか。



