それでも、恋


それから、わたしたちは塩味を求めて、近くのファストフード店に入った。がちゃがちゃした店内は、学生らしき若者がほとんどを占めている。

いつもと変わらない、ファストフード店。だけど、制服を着ていないデート中のわたしには、ちょっととくべつな場所に見えてしまうから不思議だ。

わたしはフライドポテト、一条くんはダブルバーガーのセットを注文した。


「珍しく、よく食べるね?」

「うん、ハンバーガーでごまかしてるの」

「ほかに食べたいものあるの?」


綺麗な容姿と似合わず、一条くんはジャンクフード信者だ。なんたって、主食はポテトチップスだし。そんな、ハンバーガーにかぶりつく肉食な彼は、わたしの質問にくすりと笑った。


「なに、宇田さんのこと食べちゃってもいいの」 

「っ、え?!」

「ふふ、冗談」


わるい、冗談だ。簡単に揺らされてくやしいわたしが思いっきり睨みつけているのに、飄々とハンバーガーを楽しむところも気に食わない。


「おいしい?」

「まあまあ」

「ポテトおいしいよ、たべる?」

「ん」


餌を待つ雛鳥みたいに、くちを半分開けている一条くん。無防備で、かわいくて、ずるい。

わたしがその形の良い口にポテトを差し出すと、ぱくっと食いついた。従順な一条くんがめずらしくて思わず笑ってしまうと、彼は涼しげに整いすぎた顔をちょっと歪めて拗ねてみせた。