それでも、恋



とってもおもしろかった。考えてみたら、わたしとその3人組って共通点がある。ほら、ごくふつうの女子高生に憧れてたりするし。あのね、正義の味方だし。

まあ、わたしに車を1台持ち上げちゃうような怪力はないけれども。

ちなみにこの映画を選んだ理由について、少年は「武器を持ってる女の子にそそられる」と述べていた。どういうことだ。

エンドロール。文字がたくさん流れてきて、ぜんぜん追いつかない。自分と同じ名前の人がいないか探してみる、無意味な行動。見つからなかったし。

それが終わると、シアター内の照明がぽうっと灯った。瞬きをして、視力に光を馴染ませる。

隣の席を見ると、美少年が両手を合わせてぐーっと伸びをしていた。


「おもしろかった!わたし的には戦闘シーンの音楽がよかったね、一条くんは?」


映画が終わって、満席に近い劇場からどんどんお客さんが流れて出ていく。わたしたちは、みんなが出ていくのを待ってから席を立つことにした。


「女の子がでっかいバズーカを担いでるの萌えると思ってたけど、両手に小型銃もかわいかった」

「萌えポイントが謎」

「俺、武闘派の女の子すきかも」

「刀は?」

「いいね、セーラー服の子が刀持ってたら悶え死ぬ」


そんなことを口遊む一条くんは、残っていたコーラをずずずと下品な音を立てて飲んだ。もう、ぜったいに炭酸は抜けているだろうな。溶けた氷で薄められた、ただの甘い水だ。不味そう。

案の定、飲み干した一条くんは眉を顰めて「まず、」と言葉を吐き捨てた。ほらね、言ったでしょ。