「むしろどうして4人で帰らなきゃいけないの」

「青春じゃん!俺らで青春しようじゃん!」

「付き合いたてのふたりを、そっと暖かく見守ろうって気持ちはないわけ?」

「ないね」
「ないよ」

「よし、わかった、戦争だ」


いや、どうして戦争まで話が飛んじゃったのか。頼むから、仲良く平和にやってくれ。わたしはこれまた白けた目線を送りながら、「4人で帰ればいいじゃん」と提案した。


「宇田さんが言うなら決まりだね!やったー!」

「一条くんの弱点って真菜子なんだ〜かわいいところあるじゃん〜」

「4人で帰るなら、どこか寄ろうよ」


折口くん、こっちゃん、一条くんが、それぞれ自由に言葉を放つ。あまり絡み合ってなくて、わたしはこっそり笑ってしまう。


「やりたいこと、ある」


わたしが口を開くと、「ん、なあに?」と一条くんがあまく訊ねた。小首を傾げるその仕草がとてもやさしくて、どきどきする。

隣の席の美少年はなかなか難しいひとなので、たぶんわたしが彼のことをまるっと理解できる日は来ないと思う。だけど、去年よりも今年。先週よりも今週。昨日よりも、今日。

わたしたちのハートの距離は、着実に確実に近づいているわけなので。


「みんながそろった写真、とりたい」


いま、この瞬間だけのわたしたちの距離感を、みんなでお揃いの思い出にしておきたいな、とか思うのだ。それで、これから先、もっともっと仲良くなったときに、その思い出を眺めて笑いたい。