その後、大雨の中を何度も川沿いを行ったり来たりしてみたが、いつまで探しても、もう片方の靴が見つからない。


早朝になり、空が少しずつ明るくなってきた。


「もう朝か……?この方が見つかりやすいはず。
よしっ!!もう少し頑張るかーっ!!」


涼が川沿いを歩いていると、反対岸の小枝に引っ掛かっていた靴を発見した。


激流に押されている靴は、今にも小枝が折れて、流されてしまいそう。


「川に入るしかないな。流されたら、もう絶対に見つからないから」


想像以上の水圧に押されて、前に進むどころか、立っている事すら容易ではない。


無我夢中で川に入った涼は、真ん中辺りまで歩いてきたが、前に進むことが出来ず、もう後戻りすることもできなくなっていた。


一瞬でも気を抜いて、足が踏ん張っていられなくなると、一瞬でこの激流に流されて溺れ死んでしまう。


「渚……俺カッコ悪いなぁ。
カッコつけて靴を探しに来て死んじゃうなんて……
もうこうして立ってるのも時間の問題だよな……
このまま死ぬんだろうな……
きっと……」