撮影終盤に差し掛かり、渚は演技をしている間は、幸せそうに笑って、切なく泣いて。


色々な表情を見せていたが、撮影の合間の休憩時間では、項垂れるようして、暗い表情をしていた。


一人ぼっち。

いや。

嫌われてるなら、全員敵という言い方が正しいのかも知れない。


渚が木陰で人目を避けるように、一人で台本を開くと、そこには赤のマジックで落書きされていた。

バーカ!!

浮気者!!

さっさと死んだらいいのに!!


などと酷い言葉が並んでいるのを見ると、渚はまた涙を流した。


「もうやだ……早く家に帰りたい……」


もう嫌がらせをされても、言い返す気力すらない。

ただ毎日、早く時間が過ぎることだけ考えていた。

撮影が早く終わる事を願って。