「アンタが調子に乗ってるから悪いのよ?バーカッ!!」


腕を組んだまま睨み付ける舞の姿がそこにあった。


二人きりのグランドで、舞は勝ち誇ったように笑いながら、スマホを渚に見せる。


涼とベンチで抱き合っているように見える写真が、そこに写し出されていた。


「何……これ……?」


「これを紫音に見せちゃった。
どう見ても浮気者にしか見えない写真だよね?
我ながら上手く撮れたと思うの。
プロのカメラマンにでもなれそうじゃない?キャハハハ」


紫音を勘違いさせるような写真を見せつけられた渚は、舞に屈するように、その場で泣き崩れた。


「違う…………紫音…………違うよ…………」


高笑いしながら帰っていく舞と、その場で泣き崩れる渚。

浮わついた気持ちが、涼を遠ざけて、はっきりしない態度が紫音を遠ざけた。

もう時間は戻ってこない。

もし神様がいて、1度だけ時間を戻せるなら、渚はこう言おうと思った。


紫音と出会う前に戻してほしい。


と。