まだ機材の片付けをしているスタッフも、共演者も数人いる中、人目も憚らず、渚はその場に座り込んでしまう。


「どうして……」


渚は両手で顔を覆って泣き咽ぶ。


私が悪いんだ……


二人を好きになった罰なんだ……


渚が泣いていても、誰一人として寄っては来ない。


少しずつ人がホテルへ戻っていき、人の気配が消えていく。

孤独。

孤立。

渚は本当に一人ぼっちになってしまった。

カサッ

パサッ

静かになったグランドで渚が泣いていると、背後から近付いてくる足音が聞こえて、人の気配がした。


紫音が迎えに来てくれた……?


「泣かないで?」なんて優しく言ってくれるのかな……?


それとも涼……?


「振られてやんの~」なんて笑ってるのかな……?


なんて想像しながら、渚は後ろを振り返った。