My dear prince~初恋の幼馴染or憧れのアイドル~

「その代わり……今度は渚からキスしてくれよ?」


「えっ……」


「震えながら俺にしがみついて、キスする渚が可愛かったから、もう1回見せてよ?」


「そんな……」


渚は全く台本にない事を言われて、戸惑っていた。


涼が見てる…………


今度は断らなきゃ…………


戸惑いながら視線がさまよう渚に、紫音が詰めていく。


「涼より俺の事が好きなんだろ?渚の全てを俺にくれよ?」


誰かわからないほど、紫音が豹変していたが、悪い気はしない。


舞が何を言っていたのか?

涼より紫音を選んだという映画の設定だからか?

何を意味しているかわからないが、嫉妬して束縛しようとしている紫音が、そこにいたのだから。



何……この展開……


監督止めてください……


涼……


私……どうすればいい?


涼をこれ以上傷付けたくないよ……


このままだと紫音にキスしてあげたいって思っちゃう……


理性と本能の間で葛藤する渚だった。