My dear prince~初恋の幼馴染or憧れのアイドル~

涼は昨日フラレた事で、気まずくならないように、声は元気だったが、視線は俯き気味。


涼はどんな顔で接していいのか?わからなかったのである。

渚は台本を受け取ると、涼がスカートの裾あたりを見つめている事に気付いて、悪戯っぽく微笑んだ。


「んっ?私のスカート姿が似合わないとか?」


いつもの意地悪な涼の発言を先回りして言った渚だったが、涼は汚れているスカートに気付いて笑った。


「似合うとか似合わないとか、そんなのわかんねぇよ。
なんか汚れてるな?って。
砂場で遊んでた頃の渚を思い出しただけだよ?」


「あっ……本当だ~」


さっき床に座った時に汚れたスカートを、パタパタと叩く渚は、嬉しそうに懐かしい話を始めた。


「砂場で遊んでた時、私はお母さんで、涼はお父さんで、本当の正体はマックスレンジャーって役だったね?」


「そうだったな?いつか渚も頼りないお母さんになるんだろうな?」


「もーっ!!頼りないは、余計だよぉっ!!」


渚が頬を膨らませて、冗談ぽく怒りながら涼の肩を叩く。


「痛いってやめろよ~」


「私をバカにしたからだよっ!!」


幸せそうに笑っていた二人。


渚は涼とじゃれ合いながら、ふと思った。


涼とこういう風に過ごす時間……


好きだったなぁ……


ダメだってわかってるけど……


できるなら涼が、ずっと親友でいてくれたらいいな…………