My dear prince~初恋の幼馴染or憧れのアイドル~

渚が数人の女子達に囲まれて、土下座で謝ろうとした時だった。


「おーいっ!!渚~。昨日、中庭に台本忘れてたぞ~?」


涼の声だ。


ここは女子達の控え室。

着替えをしているかも知れないので、廊下の少し離れた場所から大声で叫んでいた。


「チッ……邪魔が入ったな?」


舞が座っている渚の膝を軽く蹴ると、その場を離れていく。


渚は涙を拭って、教室のガラスを見ると、前髪を整えて笑顔を確認した。


涼に心配かけられないからね……


普段通りに見えるかな……?


「はーいっ!!今取りに行くっ!!」


渚は嬉しそうに教室を出て、涼の元へ駆けていく。

ただの偶然かも知れない。

しかし結果的に涼が助けてくれて、感謝の気持ちでいっぱいだった。