「目がハートになって、紫音様……って、どこの少女漫画だよ……
まったく……見てるこっちが恥ずかしい」


「えーっ。別にいいじゃん。誰にも迷惑かけてないんだから」


確かに通りすがりの人には、全く迷惑はかかっていない。

でも、涼にとっては渚の心が奪われる紫音の存在そのものが迷惑であり、少し怒り気味に言った。


「迷惑とかそんな話じゃないだろっ!!ガキんちょのくせにデレデレしてんじゃねぇんだよっ!!」


「えっ?」


渚は怒られる意味が全くわからなかった。

単なる憧れであり、天と地ほど離れた遠い存在でしかない紫音の事で、そこまで怒られるなんて。

少し考えた渚はクスクスと笑って、悪戯っ子のような表情で、囁くように話す。


「もしかして……ヤキモチ?」


すると、涼の顔はみるみるうちに赤く染まっていく。