My dear prince~初恋の幼馴染or憧れのアイドル~

ベンチに座って話していても、涼は普段のままの会話しかしてこない。


「昨日花火見た?綺麗だったよな?」


待っている話と違う。


渚は、いつ紫音の話をするのか?

そればかり考えていて、涼の話が全く頭に入ってこない。


「うん……」


「昨日、朝早くから舞さんが起こしに来て、一緒に縁日に行こうって言われてさぁ?
毎年渚と行ってたのに。
今年はもう渚と一緒に、花火を見れそうな所ってないよなぁ?」


「そうだね……」


あまり話を聞いていなかった渚は、涼の話を頭の中で、3回転くらいさせてから驚いた。


「んっ……?……えっ……?わわ……わわた……私と行きたかったのーっ?」


「何をそんなに驚いてんだよ?」


「舞さんと腕を組んで仲良さそうにしてたから……私は一緒に行けないんだと思ってた……」


「あぁ……だから紫音を好きになったってこと?」


「えっと……そういうわけじゃないけど……」


渚は否定したが、涼の言う通り心が大きく揺れ動いていた。


舞と楽しそうに過ごしていた涼に嫉妬してしまい、寂しい時に紫音に優しくされて、靡いてしまっていたのだから。