My dear prince~初恋の幼馴染or憧れのアイドル~

撮影の合間の休憩中に、校門の前に用意された簡易的な椅子に並んで座り、紫音と今日の夕飯は何か?という話をしていた。


紫音と話していると、涼の事が頭から離れて、少し気が紛れる。


「ハンバーグがいいかなぁ?でもいっぱい食べたら太っちゃうしなぁ……」


「そんなに急に太ったりしないよ?
映画中にどんどん太ったら、幸せ太りに見えて、いいんじゃない?」


「そんなの、嫌ですよぉ~」


紫音に可愛いって思われたくて、ダイエットの事にも意識している渚のポケットの中で、スマホが振動した。


「んっ?なんだろ?」


「メール?見てくれていいよ」


紫音がスマホを覗いて見たりしない。という意思表示に、その場を立った。


SNSから届いたのは、涼からのメッセージ。


『今日の夜、話がしたいからホテルの中庭で会えないか?』


という内容だった。


『わかった』


渚はそう返して、紫音に言った。


「何も大した話じゃなかったです。
紫音は好きな食べ物ってありますか?
今度、私が紫音の為に作ろうと思ってるんですよ~」


「渚の手料理かぁ?いつか俺のお嫁さんになる?」


渚は何を言われたか、一瞬わからずに時が止まる。


今……


お嫁さんって言ったよね……?


目を開いたまま、ぼんやりと何が起こったのか?という表情で紫音を見ていた渚がボソッと呟いた。



「冗談ですよね……?」


「フフっ……冗談だよ?相変わらず渚って可愛いな?色んな表情を持ってていいね」


そう言って紫音が、渚の頬をツンツンと指先で押してくる。


「えへへ。ありがとうございます。お世辞でも嬉しいです」


「お世辞なんかじゃないよ」


「もっと可愛くなれるように頑張りますっ!!」


涼からの話が何なのか?とても気になるが、それ以上に紫音から可愛いと言われた事が嬉しかった。