涼と渚はホテル行きのバスに乗って、撮影スタッフや他の出演者達が、集まるホテルへと向かう道中。


向かう先は、山頂にあるホテル。


バスからの景色が綺麗で、人気の観光スポットになっている。


「涼。窓の外を見て?湖が光に当たってキラキラしてるよ?綺麗だね~」


観光客気分の渚は、緑の広がる景色や、遠くに見える町並みに感動していた。

しかし感動を共有してくれず、機嫌を損ねている涼を気遣う渚。


「どうしたの?バスに酔っちゃった?運転手さんに止めてもらうように頼んでこようか?」


「別に大丈夫だよ」


「それならいいんだけど。」


少し静かな空気が二人の間に流れた後、渚は耐えきれずに言った。


「ねぇ。聞いてた?紫音様が、私の服を褒めてくれたよね?」


ずっと誰かに自慢したかったが、聞いてくれる相手がいないので、涼に話したのだ。

それなのに涼は素っ気なく返す。


「ホストが褒めるところがない時に、服を褒めるのと一緒だろ?」


「ひどーいっ!!紫音様はそんな人じゃないもんっ!!」


女の子は少しの変化に、気付いてもらえるとうれしい。
その程度の話なのに、ひどい言われよう。