渚は部屋に置いてあるスマホを慌てて取ると、すぐに涼に電話をかけた。
「出てくれるかな?きっと喜んでくれるんだろうなぁ」
渚は嬉しそうに電話をかけながら、涼の喜ぶ顔を妄想していた。
映画のオーディションに一緒に行こうよ?
うん。別にいいけど?
涼ならきっと凄い役者さんになれると思うんだ~。
そっかな?
もう遊んでられないな?
本気で映画に向けて特訓しなきゃな?
私も手伝うから、一緒に合格しようね~。
こんな話になる事を妄想していた渚だったが、一瞬で打ち砕かれてしまった。
「映画のオーディションに一緒に行こうよ?」
「行かない。」
プツ……
電話が切れた。


