「でも高校に入ってからは、演劇部に入らなかったの?
ネットで調べても、涼くんの名前が一切なかったから。」


「いや……それは………」


困惑した様子の涼に対して、舞は一瞬でフォローに切り替える


「別に高校の演劇部に入らなくても、役者の道っていくつもあるからね?
私だって高校に入ってすぐにアイドルになって、こうして映画にも出られるんだから」


確かに演劇部のコンクール荒らしが、劇団にスカウトされて役者の道へ。というのもあるが、別に大した事じゃない。


的外れな話をする舞に、困った様子の涼。


「まぁ高校も演劇部に入ったんだけど……」


「そうなんだ?涼くんと渚ちゃん以外は、みんな未経験者だったから、全国に行けなかったとか?」


「ううん。そういう話じゃないんだ……」


涼は今年の春の事を思い出しながら、話し始めた。