渚が幼稚園の頃~~~~~~


生活発表会で、シンデレラの劇をすることになった。

配役は男女に分かれて、神経衰弱のように裏向けで広げられたカードから選び、カードに描かれた可愛いイラストの役が自分の役。

大きめのカードに、紐がついていて、首に掛けられるようになっている。

そんな遊び心のある役決めだった。


女子からシンデレラ3人。
男子から王子様3人。

あとは男女問わず、

意地悪な家族3人。
魔法使い3人
など。

一人だけお姫様とか、一人だけ魔女だったりすると、不平不満が出るので、全部の役を3人ずつという方法が取られた。


教室の半分くらいを使った女子の役決めが始まると、園児達が群がっていく。


「涼くん。絶対にお姫様になるからね?じゃあ行ってくるっ」


「うん。頑張って~」


満面の笑顔を見せた渚が、ちょこちょこと、女子達の輪の方へと向かっていくと、早速、一人目のお姫様が決まった。


「やったーっ!!私、おひめさまーっ!!」


「えーっ!!私は魔女だって……」


涼を含めた男子達は、一喜一憂する女子を眺めているだけ。


「なぎさちゃーん!!早く引かないと、お姫様がなくなっちゃうよーっ!!」


涼が声をかけるが、渚はゆっくりとカードを眺めて迷っていた。


絶対にお姫様を引かなきゃ……


涼くんが王子様を当てて……


私がシンデレラをやるんだから……