紫音が席を変わって舞の隣に座ると、これまでテレビで見ていた、笑顔のキラキラしたイメージの舞に戻っていた。


「紫音も私の隣に座りたかった?
私も座りたいと思ってたよ~。
願いが通じたのかな?」


「まぁな?男と隣同士ってのも、絵的に暑苦しいからな?」


「確かにそうよね~。私も席を変わった方がいいと思ってた~」


楽しそうに話している舞を見ていると、さっきの声は気のせいかな?と思えてきて、撮影の再開後も順調に進んでいき、また先程の紫音の台詞の順番が回ってくる。


「じゃあ……渚ちゃんと一緒に行こうかな?」


「いいよ。紫音様と一緒に花火大会なんて夢見てるみたい」


「ずっとその紫音様っていうのが気になってるんどけど。紫音って呼んでよ?」


「し……しおん?」


「そうそう。渚ちゃんともっと仲良くなりたいから、普通に話してよ?」


「うん。紫音。これからも仲良くしてね?」


渚と紫音が握手して顔を見合わせると、幸せそうに笑っていた。


カットーーーっ!!!


監督の声が響いて撮影が終わった。


「今日はここまで。
涼と舞はホテルまで機材を運ぶの、手伝ってやってくれないか?」


「はーい」


涼と舞は監督に頼まれて、片付けのお手伝い。

紫音と渚は一旦、ホテルに戻ることになった。