ビビビーッ


涼助けてよぉ~


渚はテレパシーで伝えてみようとしたが、当然そんな能力があるはずもない。

涼は全く気にする素振りもなく、自分の台詞と演技に必死だった。


渚の方を見ることもなく、おにぎりを食べながら、紫音に向かって話す涼。


「紫音も花火を見に行くんだろ?」


「じゃあ…渚ちゃんと一緒に行こうかな?」


紫音はそこまで言うと、突然立ち上がった。


「監督すいませんっ!!カメラを止めてもらっていいですか?ここの席って蚊が多くて集中できません」


当然、意味のわからない理由でカメラを止めた紫音に向かって、監督の怒鳴り声が響く。


「はぁっ!?そんな事くらい我慢しろよっ!!
お前は何年、芸能界にいるんだっ!!」


「すいません。渚ちゃん席を変わって?」


「えっ?蚊が多いのに私が?」


「渚ちゃんは可愛いから、蚊にもモテモテだよ。きっと」


「へっ?」


涼はその二人の話を聞いて、大笑いした。


「アハハハっ。渚は蚊にしかモテないってさっ!!」


「もうっ!!なんなの~。みんなで、私をバカにして。」


ドッキリでも仕掛けられてるのか?と思うほど、3人から笑われている渚は、ふてくされて席を立った時、舞から何か聞こえた気がした。


「んっ?」


今……

舞さんが……

何か言った……?

ブスが調子に乗るな……

みたいに聞こえたけど……