「わかった……」


真っ直ぐ前を見つめて歩いている、渚の心はここにあらず。

ほとんど涼の話を聞いていない渚は、こんな事を考えていたのだ。


涼と一緒にいると疲れるんだよね……


いちいち意地悪な事を言うし……


本当は優しいなんて百も承知なんだけど……


それに比べて紫音様は……


一緒にいるとドキドキして、ずっと可愛く見てもらいたいって思うし……


本当の恋ってそういうものじゃないのかなぁ……?


万が一……


んっ?十万が一……?


紫音様が私の事を好きになってくれたら、ずっと包み込んでくれるような優しさの中にいられる……


きっと幸せなんだろうなぁ……



恋に恋してしまう渚だった。