現役の高校生が教室に集まると、どうしても監督の話より、他の話題に移りがち。
渚の隣に座っている男女が、ヒソヒソと話しているのを見つけた監督が、睨み付けて怒鳴り声を上げた。
「お前らっ!!
ここは遊びに来てるんじゃないんだよっ!!!
わかってんのかっ!!!」
「す……すいません……」
慌てて謝る男女に向かって監督が、教壇をウロウロとしながら言った。
「他の者もわかっていると思うが、これは仕事であって、遊びなんかじゃない。
ここにいる男女全員が恋愛禁止だっ!!!
見つけたら、撮影中であろうが、物語の終盤であろうが、即刻帰ってもらうっ!!!いいな?」
現役高校生の出演者達の中には、夏休みの間、一緒に過ごしているうちに恋人を作る。
淡い夢を見ていた者も少なからずいた。
監督が自分の映画をスキャンダルで潰されたくない。
そんな内容の話をしていたが、誰も聞いてはいない。
みんなの頭に残ったのは、監督が怖いこと。
そして恋愛すると帰らなければいけないこと。