My dear prince~初恋の幼馴染or憧れのアイドル~

やっぱり聞きたくないと言おうか?と悩んでいると、渚が話し始めた。


「キスする雰囲気に流されて、本当にしちゃうのかな?って思ったけど、紫音様は私の唇の手前で止めたんだ。
だからキスした振り。演技なの。
それなのに涼が舞さんの話を信じちゃってさ?
私はしてないって言ったのに」


紫音とキスしていないと知った涼は、安堵した表情を浮かべて、いつも通りのテンションに戻る。


「してないって言ったっけ?」


「ちゃんと言いました。
そんなことしてないって。
私がキスしたと思って、ヤキモチ妬いてたなら、
素直に僕はヤキモチ妬いてました。って言ってもいいんだよ~?」


「だからその陰キャみたいなキャラは誰なんだよ?」


「んっ?涼だよ~」


「俺はそんな言い方したことないってーっ!!」


二人は大笑いした後、渚がこんな事を言った。


「じゃあさ?
僕は渚が好きだから、キスしたいです。って言えば、
私のファーストキスをあげてもいいよ?
涼の事だから、絶対に言えないんだけどね~」


渚が悪戯っ子のような笑みを浮かべて言うと、涼が渚を強く抱き締めた。


「僕は渚が好きだからキスしたいです」


「……いいよ……私も涼が大好き…………」


病院で言えなかった約束の告白を、ようやく口にすることができて、渚の頬は真っ赤に染まっていく。


渚も涼の背中に手を回して、そっと瞳を閉じると、二人の唇が重なり合った。