My dear prince~初恋の幼馴染or憧れのアイドル~

2か月後。


涼は無事に退院して、家で普通に過ごしていた。


「涼ーっ!!迎えに来たよーっ!!」


玄関から大きな声で渚が呼んでいる。


涼が窓を開けて「ちょっと待って~」と、いつもの登校時間と同じ返事。

今日は紫音が海外へ旅立つ日で、空港まで見送りに行くのだ。


渚は自分の事を好きになってくれて、共演して色々とお世話になった、感謝の気持ちを伝える為に。


涼は命を救ってくれたお礼を伝える為に。


空港に到着すると、見送りのファン達が大勢詰めかけていた。


「これじゃ紫音の姿を見ることもできないよぉ~。涼、肩車してよ?」


「えっ?嫌だ。重いから」


「重くないっ!!涼に可愛いって言ってもらえるように、ダイエットしてるもん」


「はいはい。かわいい、かわいい」


「何よ~。その棒読みはーっ」


また以前と同じ、いつものやり取りだ。


ただ1つだけ違うのは、恋人になったという事くらい。