「涼ごめんね……私が悪いんだ……」


フラフラと立ち上がった渚が、涼の顔を見て、泣き顔を無理して笑顔に変える。


「涼……泣いてたらバカにされちゃうね……?
ごめんね。私もずっと涼が好きだったのに、紫音に出会ってから浮かれちゃって……
どっちも好きみたいな態度をしてるうちに、みんなに嫌われちゃったんだ。
撮影がもう少し残っているから待っててね?」


渚はそう言ってベッドで寝ている涼に背を向けたが、何かを思い出したように涼の顔をまた覗き込んだ。


「絶対にまた目が覚めるって信じてる。信じてる……
信じてるけど……
戻ってきた時に、いなくなってたら、嫌だから言っておかなきゃね?
今までありがとう……
私を守ってくれて……
もし涼が許してくれるなら、その時は私から告白するね?
私は涼が大好きって……」


渚は涙を拭うと、みんなのいる方を向いた。


「もう大丈夫ですっ!!今日は紫音のライブの撮影ですよね?」


無理しなくてもいい。という監督やスタッフ達の意見を押し退けて、渚は病室を出た。


きっと涼とまた笑える日が来ると信じて。