コンプレックスから始まる恋



戸崎さんだ...


少し痩せたように見える

助手席の窓が開いて


「乗って。」

そう無表情で言われた。

そう...だよね。


「迎えに来てくれてありがとうございます。お願いします。」

そういって助手席に乗り込むと、程なくして車は動きだす。

私たちは無言だった。

BGMであろう洋楽だけが小さく聞こえる。

家を出て20分くらいたっただろうか。どこかの地下駐車場で車が止まる。


「ついた、降りて。」

「あ、はい。」


戸崎さんはスタスタと先に行ってしまう。


ここって...?

小走りをして戸崎さんに追いつく。


「あの...ここって...」

「うちだ。」

うちって戸崎さんの家...?


「ゆっくり話したかったから。」

まさか戸崎さんの家に来るだなんて思ってなかった。