アルフレッドは笑った。
『ちょっとアル……! 』
小声で注意されても、笑いが止まらない。
『そうとも。これはただの椅子だ。……私だって、面白くも何ともない。どうしてくれる? 』
ロイが座ったっていい。
彼が話してくれた夢の世界を、いつか当たり前にできるのなら。
『……王様も難儀だね』
『ああ、だから』
生意気な言い方に、少し同情が見える。
ああ、もう大丈夫。
これからロイは、自分は。
この国は、きっと――。
『責任もって半分こだ。だって、お前も座ったんだからな』
『……うん。僕、手伝うよ。アルも同じものを願ってくれるなら』
予想と異なる返事に眉をひそめた。
『馬鹿を言うな。手伝いで済むと? 』
『でも……やっぱり、アルの王様姿を皆望んでる』
丸い瞳が、この全身を見上げている。
悔しそうな、羨むような弟の目。
(……同じ色なのにな)
彼は気づいていないが、兄の目もきっと同じ色を浮かべている。
『僕みたいな可愛い子より、アルみたいないかにも強そうな外見の方が王様らしいよ。だから諦めて、そこにふんぞり返っているべきだ』
――本当は似合わないって、僕は知ってるけどさ。
『……弟、だからね』



